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【本】 高村薫 「晴子情歌」

高村薫の作品だが、合田雄一郎が登場するミステリーではない。著者らしい重厚な物語。テーマは、漁場、特に北海道のニシン場にくらす一族の移ろいである。実は、勉強のためにニシン場の物語を読みたいと思っており、「鰊場育ち」なども以前、井出商店のブログでも紹介した。鰊の番屋などは今でも日本海沿岸にのこっていて、見学もできる。ひんやりと薄暗い番屋にいると、活況だったころに思いをはせてしまうのだが、本書には少女のそこでの出会いや思いが描かれている。鰊本と高村本と、一石二鳥の楽しさがある作品だ。

さて、北海道のニシン場の隆盛と衰退は2-3世代位でひとめぐりした今や過去の物語である。個人的にはこの時間的な長さは、物語を描くのにちょうどよい期間、年数と思っていた。移民の物語も同様なテーマなのだが、こちらは4世、5世の時代に入り、飽きさせずに書くにはガルシア=マルケスの「百年の孤独」、中上健次「千年の愉楽」のような少々非日常的な手法がよくなじむ。

私の父に、数の子の産業史を書いてほしいと改めて思った。それをもとに、私が息子へと家業をつなげば、息子の代には家業史が書けるだろう。そのころまで会社がのこっていえば、かなり価値のある史料になるかもしれない。

なお、本書には、参考文献としてニシン産業に関する本が参照されており、そのうちのいくつかを読んだ。ノンフィクションであるのだが、まるっきり小説の面白さである。今後、いくつか紹介していきたい。

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